2009年7月28日火曜日

パルスオキシメータの原理?

オペアンプ100倍実験中に、蛍光灯やら人影やらの変化にも敏感に反応していると書いたが、フォトトランジスタをつまんでいる指に流れている血液の拍動にすら反応していることも分かった。

ブレボ上で光軸設定をしたり光を遮ったりするためにフォトトランジスタをつまんでいたら、妙に周波数の低い、バイアスのブレのような現象が見られました。



どうも1Hzあたりで上下しているようなので、1s/divで見てみました。




当初、1Hzのノイズ源は思い当たらなかったのですが、たまたま今日の午後に来た患者さんと、来月に心臓のCTを取りにいくという話になったとき、もしかして、と思いあたりました。

これ、指先の動脈血流の変化が検出されていました。

LEDから出た赤外線が指を通り抜ける間に、血液中に含まれる酸素ヘモグロビンがその赤外線を吸収しており、拍動に合わせて増加・減少する血液量に比例する形で、その吸光度が変化していたのです(吸光光度計・Lambert-Beerの法則)。

この原理を応用したのがパルスオキシメータで、酸素ヘモグロビン濃度と、還元ヘモグロビン濃度から、酸素飽和度を求められます。詳しい原理はコニカ・ミノルタさんのページにあります。

その酸素飽和度と酸素分圧の換算表から、酸素分圧を求めることができます。
(コニカ・ミノルタさんの飽和度・分圧換算表

肺のように酸素分圧の高いところでは酸素飽和度は100%に近くなり、末梢に行くに従って酸素分圧が下がると酸素飽和度は下がります。つまり酸素分圧が下がると、ヘモグロビンは結合している酸素を放出します。これがヘモグロビンによる肺から末梢への酸素の運搬です。

さらに、この酸素飽和度-分圧の表をよく見ると、温度や血液のpHにより、ヒステリシス特性を持つと云うことが分かります。

生体では、熱源を酸素で酸化してエネルギーを得る過程から二酸化炭素が生じます。ですから肺に比べて末梢では二酸化炭素の量が多いのですが、二酸化炭素は酸性ですから末梢組織は肺に比べて酸性であると考えられます。先ほどの酸素飽和度-分圧の表では、酸性だと曲線が右に移動していますから、末梢での酸素分圧が同じであれば、より多くの酸素を遊離することになります。このpHによるヒステリシス特性は、淘汰圧の巧妙さを物語っています。

話が大幅に脱線しました。

以前、在宅医療の患者さんから頼まれて、そのパルスオキシメータを購入したことがあるのですが、サンプリングも速く、感度もよかったのを覚えています。

つづく。

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